西部邁 『日本とは何か 正統知識人の驚くべき先見力』を読んで。

その前に、2017年度・第4弾・新作小説「特別な輝き」

http://www.geocities.jp/akimjlef2dionnejp/tokubetuna-kagayaki.html

を書きました。

是非、読んでみて下さいね★

 

 

(本書は、1995年に出版されたものです)


まずは、(西部邁ノーブレス・オブリージュ)から、印象に残った文章を羅列してゆきます。

この本書でも、自分の思考は間違っていなかったんだと、判明し、喜んでいる自分がいます汗

ですが、西部さんの「知性」に勝てるはずもなく、散々たる喜びですが…汗


1、そのうちにスチュワーデスが食事をサービスする。
ところが、本当にただの一人も食事を差し出されて礼を言わない。
別にイタリア語で「グラッチェ」と言えとはいいません。
英語で「サンキュー」でもいいし、日本語で「ありがとう」でもいい。
ともかくそう言いながら軽く会釈をすれば、それはそれで通じるはずです。

 

2、マスコミに騒がれたから大問題で、騒がれなければ問題じゃないみたいなプリンシプルで外国と交渉をすれば、外国というのはそんなに生やさしくありませんから。
日本人は一体何を言ってるんだ、ということにならざるを得ないわけです。
そんな首相を持つことに少々の不安を持っていいはずなんですが、我が国民はよほどきれいごとが好きらしくて、クリーンな内閣ができたと支持率が60何%になる。


3、私の予測によれば、東ドイツチェコスロバキアハンガリーの三国ぐらいは、どうにかこうにか社会主義を打ち壊すことに成功するかもしれない。
というのも、あの国々は西ヨーロッパの文化的影響のもとに、自由経済なりあるいは民主政治なりについての歴史的蓄積が何ほどかはある。


4、ソ連その他の国々はちょっと悲観的に言えば、そんな蓄積はどこにもありゃしない。
つまり、社会主義を打ち壊したくても打ち壊すことができないという事情の中で、しかし彼らは社会主義ペレストロイカを押し進めざるを得ないというふうになっているわけです。


5、私に言わせれば、ばかも休み休み言ってもらいたい。
社会民主主義というのは何かというと、社会主義の社会と民主主義の民主をくっつけて社会民主というふうに言ったわけです。
社会主義の誤りなり、失敗なりについては先ほど触れました。
民主主義について言えば、私は、今この世紀末に問われているのは、まさに民主主義の底が割れた、民主主義は放っておくとくだらんことになるということがいよいよもって明らかになっているというのが、現在だと思うのです。
比喩的に言えば、社会主義というのは、民主主義の一つの落とし子なんですね。
社会主義の別名をご存じですか。
人民民主主義」と言います。
彼らの社会主義は民主主義の一つの在り方だと思っている。


6、昔の話で恐縮ですが、ローマでシーザーが皇帝になったのは、何もシーザーさんが強引にローマ市民を弾圧し、抑圧して皇帝になったわけじゃない。
ローマ市民が歓呼、拍手喝采の中で迎え入れたのがシーザーという皇帝だった。
ナポレオンだってそうです。
フランス革命の混乱した社会の中で、ナポレオンがアフリカから帰ってきたら、「ともかくナポレオンさん、この社会を静めてくれ、あなたに期待する」というので、パリ市民なりフランス国民が熱狂的に支えてナポレオンが皇帝になったわけです。
ついでに言いますが、ヒットラーだってそうです。
戦争が終わったらドイツの始末はみんなヒットラーら悪かったみたいなことになっておりますが、ドイツ国民がどれほど熱狂的にヒットラー政権を支援したか。
日本で東条さんがどうだったこうだったといろんなことがありますが、ともかく毛沢東もそうだし、チャウシェスクルーマニア大統領だってそうだったわけです。
私が言いたいのは、民主主義がいかに脆いもので危なげなものであるかということです。
放っておくと民衆の名において独裁者をも選びかねない。
それが民主であり民衆の運動だということをわかるのならば、「民主対独裁」などという戦後日本ののんきなきまり文句で、ルーマニア問題を解釈しちゃいけない。
再び比喩的に言えば、社会主義的独裁というのは民主主義の生み落とした一つの鬼っ子だと思うんです。
日本に独裁者はいませんが、日本もアメリカも、民主主義の生み落とした放蕩児だと思うんですね。
つまり、言いたい放題、やりたい放題です。
後でもちょっと触れますが、「衆愚政治」です。
日本に典型を見るように、特に昭和の末年から平成の元年にかけての日本のばか騒ぎに典型を見るように、自由主義圏の民主主義は言いたい放題、やりたい放題のいわば民主主義の放蕩児を生み落としているわけです。


7、私は、日本人はものの考え方においてだらしないと思っています。
平和ボケしているうちに、世界を見る見方すら忘れたのかなと思うのです。


8、ヨーロッパの各国は、戦争が起こるかもしれない、核戦争すら起こるかもしれないという前提のもとに政府をつくり、政治をやっていく。


9、私は、そのことを考えればこそ、海部さんには新たな時代へ向かっての新しい首相となるのならば、このばかげた世論を巡る倒錯状態に対してある賢明な批判の言葉を持つのが首相としての責任だと思うのです。
しかし、先ほど言ったようにとてもそうはなっていない。


10、余談ですが、昔の人は本当に偉かったという例を一つ。
外国人で恐縮ですが、ジョン・スチュアート・ミルという人がいまして、マルクスと同世代ですから今から150年ぐらい前にこんな文章を残している。
その当時イギリスで日刊紙が売りに出されて、どうやら5千部の新聞が毎朝売れているらしい。
恐ろしいことではないか、5千人もの人間が毎朝似たような時間にミルクティを飲みながら同じものを読んでいる。
こんなことで人間の個性はどうなるのか。
人間の個性、あるいは個性的な人格を少々でも大事にしようとするのならば、朝何を読むかについて、自分で考えて、自分の判断で選ぶべきである。
5千人の人間が読み始めているが、そのうちこの社会は画一的な嫌な世の中になるのじゃないかということを、1840年代に嘆いているわけです。
昔の人は感受性豊かですから、5千部で嘆きましたが、今我々日本人は5千万部になろうが、一億になろうが、嘆きの声がどこにも聞こえない。
それどころか、マスコミにあわせてピーチクパーチクやって世論だと言ってるわけです。


11、民主主義がひどいものになりかねないということはギリシャの昔からよく言われていたことです。
プラトンという人、私は大好きな人物なんですが、ちゃんと言ってる。
簡単に言えば、「デモクラシーは放っておくと衆愚政治に陥るから気をつけろ」ということです。
アリストテレスもそれらしいことを言っている。


12、戦争でアメリカに負けた翌日から、「アメリカン・デモクラシー万歳」と叫び始めた。


13、私はデモクラシーより民主主義の方が悪いと思うのです。
訳語として言えば、デモクラシーが民主主義です。
デモクラシーという言葉は単純明快な言葉で、デモスというのは民衆、クラシーというのは支配という意味で、だからデモクラシーというのは言葉として言うと、いいことでも悪いことでもないのです。
「民衆の支配」と言っているだけ。
民衆がばかならば、デモクラシーからばかな政治が行われる。
民衆がまあまあ賢明ならば、聡明ならば、民衆の支配、デモクラシーからは賢明、聡明な政治が行われると言ってるだけなんです。
それでプラトンにせよ、トックビルにせよ、「民衆の多数派が賢明である保証はできない。それどころか、えてして衆愚めいたばか騒ぎをやりかねないのが民衆というものだ」と憂いている。


14、でも、消費税は世界に類列だらけなんです。
台湾の5%が一番低い税率で、アメリカは州によって違いますが、8.5%。
韓国は10%、西ヨーロッパは15%、スカンジナビア方面は20何%の消費税もしくは消費税的なものがある。
外国の真似をする必要はありませんが、真似しちゃいけない特殊な理由がこの島国にあるなら示せばいい。
そんなもの何もありはしないから、誰も示さない。


15、捕虜になった兵士の話し。
日本の捕虜というのは、しゃべりまくる。
部隊がどこにいるのか、弾丸はいくら残っているか、食糧はいくら残っているか、聞かれもしないのに、日本の捕虜がしゃべりまくる。
聞いてもいないことをペラペラしゃべる。
だから、アメリカ軍が気味悪がって、嘘の情報を教えにもぐり込んできたスパイではないかとすら疑う。
長い間彼らは気持ち悪がるんです。
もちろん各国にそういう卑怯な兵士、自分が助かりたいために同胞を売るという兵士はいるもんですが、私が読んだ限りでは、どうやら日本人の同胞を裏切る割合は10倍高いと書いてあるのです。


16、別に兵士だけの問題じゃない。
GHQに「誰それは戦争中こういう悪いことをしたからあの人をつかまえてください」と、投書するわけです。
私が何を言いたいかというと、あの戦争の負け方において、日本人は何かしらだらしないことを兵士も民間人も捕虜もいろいろやっている。
もちろんそれはいたしかたのない面がありますから、頭ごなしにあれこれ言おうとするものではありません。
しかし、その我々が、あの45年前後に示しただらしなさというものをきちんと見つめる目を持たずに、その翌日から「デモクラシー万歳、平和万歳、進歩万歳」と言い続けて、結局自分たちが内面で抱えていた人格的な卑しさというものを闇から闇に葬り去ったのだと、とりあえず言ってのけたくなるのです。


17、答えは単純なんです。
豊かさ、この豊かさというのは金とか物の話ですが、この物質的な豊かさの中で、我々退屈し始めたんです。


18、周りに最大の異邦人である女性がいるではないか。
アメリカの男と比べれば、日本の女の方がはるかに遠くにいる存在である。
何と言っても男にとって女というのはわかりきれない。
逆に言いますと、身近にいる女性たちといかにちゃんとしゃべるか。
おそらくはわからずじまいでしょうが、女性にとっても男のことはわからずじまいが残るでしょうが、ともかく身近にいる最大の異文化人である、異邦人である異性といかに付き合うかという努力を丹念にやっておれば、アメリカ人もフィリピン人もイタリア人も軽いもんだと言えます。


19、人間が無知であることは一向にかまわない。
これは、昔からギリシャ哲学のテーマなんですが、”無知の知”、自分が無知であることを知っていることが大事なのです。


20、一例を挙げると、欧米社会で、英語で言えば「パシフィスト」、「平和主義者」だということは、5割は軽蔑の意味なんです。
「平和、平和」とそればかりを言ってる人間は、無責任な、だらしない、聞こえのいいことだけを言ってる頼りない人間、という軽蔑の意味を5割か6割、かなりありありと含んで「あいつはパシフィストだね」という言い方をするんですね。
ところが、日本では当然のそういう解釈すら平和主義という言葉に含められなくなっている。
平和と言っていれば、誰もそれに抵抗できないということになっている。

---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

舛添要一・世界の新秩序と日本人)

<舛添さんは、元・東大助教授で、その何十年か先に東京都知事になりました>

 

1、1月17日に湾岸戦争が勃発した。
その前の日は、残念ながら平和への道はほとんど閉ざされたなと判断を固めましたから、「あしたどうですか、戦争ですか」と聞かれたので、「97%の確率で戦争でしょう」ということを申し上げた。
もちろんそのとおりになったわけですが、同じ日に「いや平和ですよ」とおっしゃってた方の方が、数としては多かったのです。


2、日本人の場合は、希望的観測、「こうなってほしい」「こうありたい」ということを、正確な分析の中にどうしても混ぜてしまう。
それで、いろんな予測が間違う。


3、湾岸戦争が終わった後を振り返ってみると、大きく分けて、三つのことというのは、大多数の方がおっしゃっていることと全く逆のことです。
一番目は、どういうことかというと、米ソの冷戦が完全に終わったこと。
他の言い方をすれば、ベルリンの壁が崩壊して以来、アメリカとソ連が仲良くなった。
もはや戦争のないいい時代がきた。
そして、東ヨーロッパの民主化革命。
皆さんごらんになっていたと思いますけれども。
そうしたら青天の霹靂のように、イラクサダム・フセインクウェートを攻めて行った。
「また平和の時代から戦争の時代にきたのか」。
こういう認識の方がおありかもしれないのですが、私はそうではなくて、基本的には大国同士の戦争は終わった。
米ソの”冷たい戦争”は終わったと思います。
冷戦というのは冷たい戦争と書く。
戦争が終わったということは、勝った者がいる。
この前の太平洋戦争では、我々が負けてアメリカが勝った。
勝者と敗者が分かれる。
米ソ冷戦の勝者というのは、アメリカとか日本とか西ヨーロッパの自由主義陣営であり、負けたのがソ連を中心とする共産党主義陣営です。
そして、今度の戦争は、実はそういうアメリカの勝利、ソ連の敗北のうちに終わった。


4、今度は初めてある意味でアメリカとソ連が協力してイラクを非難するということができたので、やっとここで米ソが協調できた。
そういう点もあります。


5、しかし、米ソ冷戦の終焉ということを言うときに注目すべきは、ソ連がいかに力がなかったか。
湾岸戦争が始まって何度かソ連が調停工作に乗り出した。
しかし、一回も実らなかった。
この間、基本的に自分の国の中で民族問題、経済問題があったわけですから、よその国の調停をやるどころじゃない。
もっと言いますと、私たちは40億ドル、そのあと90億ドルで合計130億ドルの金を出した。
これを国民一人頭で割ると1万5千円お金だしているわけです。
そのためにたばことか法人税増税になります。
ソ連は1円ぐらい出したかというと、本当に、1円も出してない。
日本の自衛隊が掃海作業のために行っていますが、ソ連は一人のでも兵隊を出したかと言えば、一人も出していない。
調停能力もなくなっちゃった。
お金も1円も出せない。
そういうソ連があって、片一方で50万の大軍を出しているアメリカと比べものにならない。


6、アメリカとソ連の力関係が極めて開いた。
ソ連国際紛争の調停をやる能力すらなくなったということを、ある意味で確認した。
それが一番目です。
湾岸戦争について二番目。
しからばアメリカは強くなったのか。
毎日毎日戦争をやっていて、アメリカの最新のハイテクがイラクをこらしめている。
見事に短期間で戦争を終結させた。
すごい力をアメリカは持っている。


7、いろんなことを考えますと、アメリカは実は弱くなった。
アメリカが強くなって一国で支配するというのは全く間違いであって、お金も出せない、ハイテクもだめ、そして日本やヨーロッパにいろんなことを要求せざる得ない状況になってきた。
これからますますそういう状況はできてくるだろうと思います。


8、アラブが一致団結しているというのは全くのフィクションであって、アラブの中で右と左に分かれて戦争したわけです。
これは大変大きなことなんです。
道徳とか感情とかそういうレベルの話と政治のレベルの話は分けて考えないといけない。


9、掃海艇の問題、憲法の問題、自衛隊法の問題もある。
ただ、そういう問題があっても、少なくとも私は行かないより行った方がよかったという気がする。
戦争中は何もしなかった。
戦火がやんで安全になったら出て行く。
「ずるいじゃないか」という意見が外では必ずある。


10、結局日本人は安全になってからやっと動くのか、自分が石油のほしいときだけ動くのか、まさにエコノミック・アニマルだということになる。


11、もっと言うと、130億ドルのお金を出したって、一部の有識者は知っていますけれども、普通の人はあまり知らない。
これは、国際政治、外交、そういうものについても、まさにテレビの時代がきたということです。


12、東ヨーロッパが民主化した。
つまり東ヨーロッパも手放した。
この90年代のソ連はもう東ヨーロッパの面倒を見るどころでなく、自国の面倒しか見られない小国になり下がった。
21世紀のソ連はどうなるか。
なくなっているだろうと思っています。


13、ソ連は民族問題。
百以上の民族があの国をつくっている。
それが15の共和国に分かれている。
この15の共和国が今ばらばらになりつつある。


14、今問題になっているユーゴスラビアもそうです。
ユーゴスラビアというのは、六つの共和国からなっている。
スロベニアクロアチアの非常に豊かな国とセルビアボスニアヘルツェゴビナマケドニア、こういう貧しい国がある。
金持ちのところから持ってこれるから、貧しい国は連邦を一体化しようとしている。
金持ちの方は独立してやれという。
あんな貧しいやつらと一緒にいたんじゃ、いつまでも足を引っ張られる。
それで、ロシア共和国も豊かな方ですから出て行きたいというようなことを言っているのが、今の問題。


15、核の管理と言えば、日本と北朝鮮の日朝交渉が行われています。
北朝鮮には核爆弾をつくる能力のある施設がある。
このことを国際的な査察、みんなでそれを検査して、みんなに見せて安全だと言われない限り我々は国交を結びません。
そういう話をしなければいけない。


16、日本というのは、国が160あるうちの世界第二位の経済大国。
痩せても枯れても落ちぶれても、ゴルバチョフというのは世界第二の軍事大国、そのトップリーダーが2人会って話したことは何か。
あんなことでいいんですかという感じがします。

 

17、さあ、そこで三番目。
日米関係。
アメリカは弱くなっている。
したがって、我々に要求を次々と突きつけてくる。


18、今年の12月8日は真珠湾攻撃の50周年記念日。
アメリカ人は何を思うか。
サダム・フセインという悪いやつがいたからああいうことになった。
サダム・フセインは奇襲攻撃をかけた。
待てよ、50年前、12月8日、奇襲攻撃をかけたやつがいる。
日本人だ。
日本人イコール、サダム・フセイン説というのが広まると困るので、何とかそれまでイラクの問題がテレビに出ないようにしておかないといけない。

 

19、私どもが世界一の金貸しの債権国になった。
アメリカは債務国に転落した。
これも85年。
本当に日米の力関係というのは、軍事力を除いて全部ひっくり返った。


20、むしろ私は、日本は農業を潰したらだめだと思っているのです。
農業というのは、いろんな意味からも絶対あるべきです。
そうすると、国際競争力のある農業に育てないといけない。
今度部分的自由化をやるといっても、せいぜい3%から5%、そして我々が計算すると、150%の関税をかければ負けないんです。
一粒たりとも入れないというのをやめて、ちょっと入れるとか関税もかけて入れる。
そして、少しずつ自由化して30年後に完全自由化というようなことをやる。
今から30年あるんですから、30年の間に足腰鍛えて立派な農業に再生すればいい。